インタビュー

風営法改正でより「個」が重視される時代へ 〜一 隼人インタビュー〜

風営法改正で生じた影響と対策
「個」がより重要視される時代へ

 

約1ヶ月前に「風営法改正」が行われ、ホスト業界が大きく揺れたのはご存知だろうか?一部の悪質なホストクラブ問題が発端と言われており、健全に営業を行っているお店にとってはものすごく迷惑な話。その改正の中でも広告表現の規制が、これまでの流れを大きく揺れ動かした。

歌舞伎町に来たら必ず目にする「ホスト看板」。5月の時点ではほぼ全てのスペースが埋まっており、それぞれのグループから人気プレイヤーの写真がズラリと並んでいた。そこにはこれまでの成績やお店でのランキングなどがガッツリ載っている

7月上旬の時点ではこんな感じ。入れ替えのために一時外されているものや規制にかかる文言が隠されている。

(広告及び宣伝の規制)
第16条 風俗営業者は、その営業につき、営業所周辺における清浄な風俗環境を害するおそれのある方法で広告又は宣伝をしてはならない。

これは「営業に関する違法行為を助長するような営業に関する違法行為を助長するような歓楽的・享楽的雰囲気を過度に醸し出すもの」が規制違反に当たるとされているのです。実例としては以下の通り

(1) 接客従業者の営業成績を直接的に示すもの
「年間売上〇億円突破」「〇億円プレイヤー」「指名数No.1」「億超え」「億男」

(2) 営業成績に応じた役職の名称等の営業成績が上位であることを推認させるもの
「幹部補佐」「頂点」「winner」「覇者」「神」「レジェンド」「総支配人」「新人王」

(3)「ランキング制」自体の存在、接客従業者間での優位性を裏付ける事実等の接客従業者間の競争を強調するもの
「売上バトル」「カネ」「SNS総フォロワー数〇万人」

(4)客に対して自身が好意の感情を抱く接客従業者を応援すること等を過度にあおるもの
「〇〇を推せ」「〇〇に溺れろ」

このような文言は、これまでのホスト業界で幾度となく使われてきたものであり、ある意味「これぞホスト」と思わなくもない。しかし、これらの表現が使用出来なくなり、現役プレイヤーたちは、今後どのように営業を行っていくべきなのか?今回は特にプレイヤーに影響があると思われる項目について、長年ここ歌舞伎で戦い続けるclub VOGUEの一 隼人(にのまえはやと)さんに話を聞くことが出来ました。

個人ブランディングの
強化が求められる時代に

―今日はありがとうございます。早速お聞きしたいのは今回の改正、特に表現の規制部分についてです。これまで当たり前のように謳ってきたものが使用できなくなるだけでなく、ランキング制もなくりました。この事でプレイヤーたちにどのような影響があるのでしょうか?

今回の規制ではデメリットの部分が大きく、お店の売上にも顕著に表れています。ランキングが公に出来なくなったことが1番の痛手で、これは目の前にあるわかりやすい目標が作りづらくなってしまいました。わかりやすいところで言えば、皆さんも学生時代に学力が学年で何番とか出たと思います。その結果で、自身の現在地がわかり、次回に向けて勉強した人が多いのではないでしょうか?ホストのランキングもそれと一緒で、見える目標が明確であればこそ、頑張る意欲も増していっていたはずです。プレイヤーたちはお店内だけで発表されるランキングで自分の位置は把握できますが、姫たちはそうはいきません。自分の担当であるホストが、いまどれくらいの位置にいるかをわからないですし、プレイヤーも姫にお願いする理由になっていたのが出来なくなってしまいました。それまで、そういった理由で売上を上げていた人は大きな影響を受けていると思います。

―今後ホストはどうやって営業していくべきだと考えていますか?

これまで看板には当たり前のように◯億円プレーヤーやV◯達成などの成績が載っていました。やはりそれを見て、どんなプレーヤーなのかと気になって遊びに行く人も少なくなかったと思います。プレイヤーにとっても、そういった肩書は1つのステータスでしたし、自信にも繋がっていたでしょから、影響が出る可能性は高いでしょうね。こだからこそ、より自分の価値を高めて提供することが必要だと考えています。SNSやMYHOSさんのようなメディアを通して、これまで以上に「個」を出していくのが重要だと考えています。

―肩書や成績よりも「個」であると?

さすがに個性を規制することは出来ませんからね(笑)。ちなみに僕自身、これまで億に到達したことはありません。それでもこれだけ多くの方に認知されているのは、ずっと行ってきたブランディングの効果だと考えています。メディアにも積極的に出るようにしていましたし、SNSも当時から積極的にやってきたことが実を結んだのかなと思います。

―確かに数年前から積極的にSNSの為に動いていましたね。というか、隼人さんが億超えをしていないのには驚きました。これだけ有名なのに。

よく言われます(笑)。

―でも個人ブランディングをしっかり行えば、億超えのような大きな成績を出していなくても名を広められるということを、隼人さん自身が証明しちゃっていますね。今回の風営法改正の影響があっても戦い方はいくらでもあるということですかね?

そうですね。風営法改正でお店も個人もやり方を見直す必要があります。変わってしまったものは受け入れざるを得ないですし、僕らも“より良い営業の仕方”を考えていくだけです。

―ちなみにclub VOGUEでは個を出していくために取り組んでいることはありますか?

個人でSNSを発信し続けることは常に言っていますが、動画編集兼カメラマンを専属に雇ってお願いしています。個人で依頼するには少々負担が大きい人もいるので、お店として制作を頼み、それぞれの個性が出るような動画を配信しています。できる限り、間を空けずにどんどんUPしていくので、ぜひご覧になってください。プレイヤーたちの性格や意外な一面が見られると思いますよ。

―楽しみにしています!今日はありがとうございました。

ホストに通う姫たちの声

ホスト歴1年 ぴょんチャン(22歳)

初めて遊びに行ったホストで役職者が付いて痛い目にあったから、それからはあえて役職のついていない人を指名していました。でも今回の改正で誰が偉いのかわからなくなってしまって、逆に怖くなってしまって遊びに行く回数が減ったかも。

ホスト歴5年 あやチャン(26歳)

ランキングが見られないようになって張り合いがなくなったかも。でも偏見がなくなってフラットな目で見られるようになったから、逆に遊びやすくなった部分もあるかな。

ショップデータ

店名club VOGUE
TEL03-6457-3822
住所東京都新宿区歌舞伎町2-14-8 メトロプラザ2ビル 地下1階