【ヒトコワ】床に散乱する16本の袖　／BOND空

昨年の1月、まだ自分がバイトだった頃です。当時一緒に住んでいた女の子は、普段はおっとりしているおとなしめの子でした。ただ1つだけ、時間だけには厳しくて、遅刻するたびにすごく怒られてたんですね。そしてとても寒かった日の営業終わり。LINEで「5分に1着ね」と一文が送られてきました。なんのことだろう？と疑問に思いつつも、アフターの約束があったので、いつもより帰る時間が遅くなってしまったんです。

そして疲れ果てて家に着き、玄関を開けるとなぜか服の袖だけが散乱しているのです。理解が追いつかず彼女の元にいくと、僕の服の袖をちょうど断裁しているところでした。理由もわからず問い詰めてみると、5分1着というのは【5分オーバーするたびに1着ずつ袖を切っていく】ということだったのです。

散乱している袖は16本。ということは8着の長袖がこの寒い時期に夏仕様になったわけです。しかも丁寧にハイブランドのものももれなく入っていて、モンクレールやバーバリーなどはフロントもバッサリといかれていました。さすがにその日は怖くて何も言えませんでしたが、翌日にお引き取り願いました。