インタビュー

【特集】「星屑の王子様」「ヒマチの嬢王」の茅原クレセ先生 特別インタビュー

歌舞伎町のリアルを描く「星屑の王子様」、歌舞伎町"元"NO.1キャバ嬢・アヤネが過疎化したシャッター街を変える「ヒマチの嬢王」の茅原クレセ先生がMYHOSに降臨!今回は歌舞伎町のホスト文化を綿密な取材から漫画というコンテンツに丁寧に落とし込み、一般にも広く認知されるようになった功績を讃えるとともに、ホスト漫画を描くことになったきっかけや、どのように取材しているかなどをインタビュー!

撮影●渡辺あさ美

今を生きるホストたちの光と闇のギャップを楽しんでくれたら嬉しい

編集部:
まずはインタビューにお越しいただき、ありがとうございます。MYHOSについてはご存知でしたか?
茅原:
MYHOSはずっと前から好きで読んでいました。グループもお店も役職も異なるホストさんたちの服装だったり、インタビューだったりを見られるのがとても新鮮で、興味深く読ませてもらっています。新しい号が出るたびに持ち帰っているので、家にほぼ全部揃っています(笑)
編集部:
現在マンガワンで連載中の漫画「星屑の王子様」は新宿歌舞伎町の象徴ともいうべきホストクラブやホストたちを題材にしているわけですが、なぜホストがメインの漫画を描こうと思ったのでしょうか?
茅原:
前作「ヒマチの嬢王」では田舎のキャバ嬢を舞台にして、辺鄙な土地でも元歌舞伎町No. 1の経験を活かして成り上がるっていうお話を描く中で、ホストのキャラクターも出していました。取材でホストについて調べていくうちにだんだんと興味が出てきて。じゃあ次はホストメインで描きたいなと思って、星屑の王子様の連載が決まるのとほぼ同時に歌舞伎町に引っ越してきました
編集部:
「星屑の王子様」には、現在のホストクラブのリアルな面が描写されていますが、描いていく上で苦労したことはありますか?
茅原:
ホストという職業を描いていく上で、良くも悪くも一般社会と価値基準や倫理観が異なることです。歌舞伎町にいる方々からすると普通で当然のことでも、歌舞伎町を知らなかったり、水商売そのものに免疫がない方達からすると、「なんだこの極悪非道なふるまいは…!」と拒絶反応が出ちゃうんですよね。そういった部分を描かないで隠すというのもまた違うと思いまして…。いかにわかりやすく、そして面白く、一般の方でもスムーズに読み進められるところまで物語を昇華させていく作業に、最初はかなり苦労しました。キラキラしていてかっこいいホストたちにも、実は裏側ではその光と同じくらいの闇があるんだっていうギャップを楽しんでくれたら嬉しいです。

編集部:
個人的に、理想のホスト像はありますか?
茅原:
個人的にですか(笑)。うーん…誠実な人ですかね。ホストとしてちゃんと仕事はするけど、自分の芯みたいなものがしっかりあって。嘘はつかないし、私と真正面から真摯に向き合ってくれて、何かあってもどっしり構えてくれるような…。でも、言っていて思ったんですけど、こんな生真面目すぎるホストは多分売れないでしょうね(笑)。
編集部:
キャラクターを作る上で大切にしていることを教えてください。
茅原:
人間らしさを失わないことです。いくら悪役…というかストーリー的に悪いキャラでも、やっぱり人間なので100%悪人っていないと思うんですよ。その人だって生きていく上で、人の優しさだったり友情だったり、そういう温かさに触れたことが少なからずあると思うので。それをストーリーの中に出すか出さないかはまた別ですが、人間である以上そういう部分を持ったキャラクターであることを意識しながら、お話を作っています。
編集部:
実際にホストクラブには飲みに行かれたのでしょうか?
茅原:
行きました!今でも初回で飲み歩いてます(笑)。漫画家という正体を明かすと、ホストさんたちの自然体な接客が見られないので、正体を隠して飲んでます。いろんなお店にお邪魔させていただくうちに、やっぱりグループごとの特徴だったり、お店ごとの特徴がわかってきて面白いです。新人の子は新人ならではのフレッシュな視点から働いてみた感想を聞くことができますし、ベテランは今までの経験からこんな強烈なお客さんがいたとか、こんなやばいことがあったとか、エピソードトークが豊富なのでとても参考になってありがたいです。実際ホストクラブでいろんなお話を聞いたり、キャストだけでなく内勤さんの動きや他のお客さんの様子、店内の外観と内装、お店の雰囲気など、全てが貴重な資料になります。ゆくゆくは歌舞伎町中の全ての初回を制覇したいですね。我こそはと担当になってくれる方、DMお待ちしてます(笑)。

星屑の王子様

眠らない街・新宿歌舞伎町のホストクラブ「エンペラーファースト」を舞台に、華やかな表舞台の裏で繰り広げられる常識も論理も通用しない事件やトラブルの数々。群雄割拠の中を生き抜いていく男たちを描きパパ活・風俗・売掛といった社会問題とも結びつく。現代の歌舞伎町の光と闇をリアルに描き出す、新世代型ホスト漫画。最新単行本第3巻が絶賛発売中。

茅原(かやはら)クレセプロフィール

漫画家。キャバクラや夜職をテーマにした漫画『ヒマチの嬢王』(全19巻)でデビュー。歌舞伎町のホストクラブを舞台にした『星屑の王子様』が漫画アプリ「マンガワン」で連載中。また、夜の世界の印象を変えるような1ページ漫画を自身のX(旧Twitter)アカウントで投稿し注目を集めている。